つい最近、前に勤めていた会社のパワハラ上司が部長からただの社員になった。
パワハラ上司を「部長の座から引きづり下ろす」ことは僕たちの目標だった。
信頼を無くさせ、威厳も無くす。そして最後にはただの社員にさせる。
3年前の入社当時ーーこんな日が来るのをどれだけ待ったのだろう。
★目次★
そもそもパワハラとはなにか?
かなり簡単に説明すれば、職場内で地位のある人が下の人に精神的ダメージや身体的苦痛を与えたりすることをパワハラという。
地位以外にも人間関係で優位に立っている人なども対象らしい。
もっと簡単に言ってしまえば、上司に「パワハラされた」と思えばパワハラになってしまうーーそんな世の中だ。
上司も部下も「パワハラ」は怖い存在なのかもしれない。
パワハラ上司との出会い
僕が会社に入社して溶接を始めることになった時、初めてこの上司と出会った。そして、この上司が僕の部長だった。
最初の印象は悪くなかった。
気さくに話しかけてくれたりして「いい人だな」なんて思っていた。
溶接を1日練習させられていたときには、「そんなんで楽しいー?笑」と言われたーーその時はまったく気にしていなかったけれど、今思うと完全にあれは嫌味だ。
入社して初日、更には溶接初体験の人に言う言葉なのだろうか?
入社してから数ヶ月、嫌味な言葉なんかもあったのかもしれないが、正直に言ってそれを気にしているほどの余裕がなかったのでそれを嫌味とも思っていなかった。
この数ヶ月間、裏では「あいつ、何も出来なくて使えねーんだけれど」と社長などに言っていたらしいーー後にパワハラ上司から直接聞いた話。
「溶接の未経験者が欲しい」
そう言ったのはこのパワハラ上司だ。
そして、そもそも未経験者に期待することのほうがおかしいのではないだろうか?
転職してきた友人の悪口を言い出す
他の会社で働いていた友人が転職してくる事になった。そして、転職してくると突然パワハラ上司は僕に言ったーーなっつくんに言うのは悪いけれど、あいつ気に入らない。
ーーそれで俺にどうしろと??
いろいろと疑問を思いながらも、仕事で精一杯だった僕は特に不満を覚えることもなくそのままだった。
その間、その友人はいろいろと僕のパワハラ上司にいちゃもんをつけられたりされて嫌な思いをしていたらしい。
パワハラ上司の過去を知った。
会社に馴染んでくるといろいろな人と話をするようになる。
「部長の下で仕事をすると必ずノイローゼになって会社を辞めていくんだよね〜」と教えてもらった。
納得したーー溶接の場所がいつも人手不足だったことに。
圧力を掛けて辞めさせていくらしい。
何かしらあると圧力を掛ける。
何も起こらないようにしようと頑張ると体が思うように動かなくてまた何かしら起きてしまう。
何かしてしまい、圧力を掛けられる。その圧力を掛けられないように何も起こらないように気を使いすぎて何がしてしまい、また圧力を掛けられる。
そんな負の無限ループが続き、結果的にノイローゼになって辞めていくという話だった。
その負の無限ループを一度体験しているからわかる。
その状況がずっと続いていたら..と思うと今でもゾッとする。
僕がパワハラ上司にされたこと
今での人達と同じように僕は圧力を掛けられた。
「なぜできないんだ。」
「なぜやらないんだ。」
「ダメだ。」
多分、言葉や文章では伝わらないだろう。
なんともない言葉に思えるのかもしれないが、パワハラ上司の下で働いた僕達にはとてつもなく苦しい言葉だった。
「友達を無くすぞ」
「なっつに残業させたいんだよね」
「いじめるからな」
「仕事が出来ない奴が他のことを頑張るな」
わけのわからないことを言われていたり、呼び出されて言われた。
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作業でしたの道具を使って作業することが多かったのですが...↑不運にも自分の指を切ってしまった時、流血しながら上司の目の前まで行って「すいません!!」と言ってーー指を切ってしまったので現場から一度離れますと伝えたくてーー声を掛けたけれど無視されて放置されたことには流石に驚かされた。
助けてくれる人は誰もいなかったから努力した
同じ部署に部長(パワハラ上司)以外にもう1人いたが、何か言われたり何かあって見て見ぬふりをされてどうしようもない状況だった。
出来るだけ部長と関わらないようにするには自分で仕事をある程度は出来るようになる必要があると思った。
溶接のやり方、仕上げの仕方なんて教えて貰わなかった。
電源の付け方とかそんなものだった。
Tig溶接で重要なシールドガスの意味すら知らなかった時期があったくらいだった。※シールドガス・・・簡単に説明すると綺麗に溶接をするために必要なもの。
それでも、昼の休み時間を全て削ってでも溶接や仕上げの練習した。
寝ている人の隣でーー余談ですが、その寝ていた人はたまに話に出す僕がお世話になっている人です。
結果的にはある程度のことは自分で出来るようになり、何かしらミーティングがあったりするとき以外は関わる機会が無くなったので嫌な言葉を言われたりすることは無くなった。
言われなくなった意味がその時はよくわからなかった。
パワハラ上司を部長の座から引きづり落とすことを決めた
最初に言い出したのは、転職してきた友人だった。
「まーた、変なことを企んでいるよ(笑)」
僕はそう思った。
理由を聞いてみると納得した。
僕がこの部署に入る前にいた人はーーパワハラで辞める選択しかできなくなった人はーーこの友達の尊敬していた人であり、とても仲の良かった人だったらしい。
その人を精神的に追い込んだことは許せない。
そういった思いで友人は僕のパワハラ上司を叩き潰すことに決めたらしい。
僕もパワハラ上司を叩き潰すことに決めた。
僕は会社に行くことが嫌になったり、仕事をする時に手が震えてしまっていたときもあったけれど、ノイローゼになったりすることがなく、変な圧力や暴言も消えたので「叩き潰そう」とまでは思わなかった。
そのパワハラ上司は他の部署の社員にまで迷惑をかける存在で、みんな嫌がっていた。僕と友人だけがその人の事を嫌がっているのであればそんな事をしてはいけないのかもしれないが、この先、自分の下に社員が入ってきた時に自分と同じ思いをさせてしまう可能性があると思った僕は自分の部署の部長を叩き潰すことに決めた。
僕の下に部署異動してきた人がいた
叩き潰す活動をする前に僕の部署に部署異動してきた人がいた。
さっきも書きましたが、その人は今僕がとてもお世話になっている先輩だった。
その人が部署に入ってきたことで部長からの圧力的なものが完全に消えた。
しかし、代わりに新しく部署異動してきた人が圧力をすべて受けることになった。
「やる気がない」
「プライドが高い」
など、自分の憶測だけで相手のことを決めつけて怒鳴り散らすーーこれほどムカつくことはない。
仕事をしている目の前で「話がある」と言ってその人を連れ出したときには驚いた。
結局、その人は散々いろいろ言われた挙げ句、溶接の部署では使えないとされて他の部署に飛ばされた。
部長にわざと聞いてみたーーなぜ、あの人は部署異動をすることになったんですか?
「使えないからだよ」
そして、その後にこう言われた。
使えない人はさっさと辞めさせてしまったほうがいい。
「最初の頃は、なっつのことも使えねーなー」って社長とかに言っていたけれど、その考えを覆してくれたからな。
そう言われて、突然僕に対する圧力が消えたことの理由がわかった。
そして、僕と同じ初心者として部署異動してきた人を入社したばかりの僕と同じような扱いをしていたことを知り、怒りがこみ上げてきた。
ーー何も知らない。
影でどれだけの功績をあげているのか
影でどれだけ考えて努力をしているのか
それを見ている僕は、彼が目の前でそう言われていることに対してとても悔しい気持ちになった。
だから僕は言った。
「あの人は影で努力しているし、わからないなりに周りを見てたくさん考えているんですよ?言ってしまえば、時間が絶てば僕は絶対にあの人に抜かれると思います。」
部長はこう言った。
「才能がねぇーんだよ(笑)無駄!」
この出来事で「あーやっぱり、この人は叩き潰さないといけない人だな」と改めて思った。
「叩き潰す」と言っても同じことをやり返すわけではない
同じことをやり返していくのは、正直いろいろと人間的にも法律的にもどうなのかな?と言った部分があるので、会社で一番偉い人(社長)にパワハラ上司の事をちゃんと知ってもらうことにした。
タチが悪いことに、社長はそのパワハラ上司の事を信頼しきっている。
僕の部署から飛ばされた人もパワハラ上司が「あいつ使えねー」と社長に何度も言っているから社長も「あいつは使えない」と決めつけて部署異動をさせたという起きた出来事である。
まず、入社して1~3年の僕らが敵うような人たちじゃないことは自分たちがよくわかっていたーー当たり前のことだ。
ーーそれならどうするか?
社長との信頼関係を改めさせる
社長が部長のことを信頼している限り、何が起きても部長の事を信じてしまう。結果的に負けてしまうのは僕らになる。
そもそもすべての最終決定権は社長にある。
社長に部長がしてきているすべての事を知ってもらう必要があると考えた。
幸いな事に社員と社長の距離は物凄い近い。話す機会なんかいくらでもあった。
そして、急にチャンスが訪れた。
社長と友人ともう1人で食事に行く事になった。
そこで「会社に不満はないか?」などの事を聞かれて僕らはこう言った。
僕の部長は、他の人が仕事中に世間話をしていると不機嫌になったり注意するのに、肝心の自分は世間話が多くて、それに捕まると作業を止められる。
ひどい時には3時間くらい世間話を続けられてまったく作業が進まない時があった。
それを伝えると「俺もな〜、話が多すぎるんじゃないかと思ってんだよ。」
ーー社長も思ってたんかい!!
思わずツッコミを入れたくなった。
いろいろな事実を社長に知ってもらった
- 僕の部署に入った人間が辞めていく理由
- 圧力を掛けている
- 自分の地位を使ってやりたい放題している
それを伝え、トドメに僕は社長に言った。
ーーすみません。他の部署に異動したいです。
他の部署に異動したかったのは部長のせいではないが、社長にとってその決断を僕にさせたのは部長のせいだと勝手に勘違いしていた。
会社を辞める時も「今でもあいつ(パワハラ上司)のせいだと思っている」と言われた。
僕の「部署異動をしたい。」という言葉をきっかけに社長が僕の部長を見る目がやっと変わり始めた。
パワハラ上司を叩き潰す前に僕は会社を辞めてしまった
会社を辞めたのは、社長について行くことが出来ない、そして何も学ばない場所だと思って会社を辞めた。
それは同時にパワハラ上司を潰す前に僕は会社をを去ってしまったということでもある。
パワハラ上司をどうにかするにしても、友人1人でやっていかなければならない状況にさせてしまった。
僕が会社を辞めてから
会社を辞めてから、その友人にはいろいろな話を聞いた。
友人に周りの人に助けられながらも徐々にパワハラ上司の立場を無くさせ、挙げ句の果てにその上司は本社から離れた狭い倉庫で仕事をする事になった。
どうもどうやら友人と友人の部長で社長と話をした時、例のパワハラ上司の話をしたらしく、その後に社長はパワハラ上司に「考えを改めるか、会社を辞めるかどちらか選べ」と言ったらしいーー本当にそうやって言ったのかはわからないけれど。
それからも友人はパワハラ上司を徐々に追いやっていった。
パワハラ上司の結末
つい最近の話だ。
友人が部長になり、例のパワハラ上司はただの社員になった。
今更「叩き潰してやろう」と思っていた僕が言うのもおかしい話なのかもしれないが、根っからの悪い人じゃないことや僕と同じようにーー借金ではないがーー毎月多額のお金を払っていかなければならない人が役職を外され、社長からの信頼も失ってしまった彼の定年退職までの残り数年を考えると少し可愛そうな気にもなる。
そして、逆にあの上司が責任をあまり持たないただの社員にしてしまうと逆に自由になって大変な気もするが、それは会社を辞めた僕には関係のない事であり僕の領域外の話だ。
当時、散々苦しまされたあのパワハラ部長がたった数年で友人には叩き潰されるとは思いもしなかったし、あれはあれで嫌な部分あるけれど良い部分もあったよな〜なんて過去を美化してしまう時もある。
ただそれ以上に思うこともある。
その友人はそのパワハラ上司と多々似ている部分がたくさんある。
それは僕だけではなく、一緒に働いている人の多数が思っていることだ。
数年後、いや数十年後に自分と似たような人が入社してきて、彼がパワハラ上司にしたことと同じことを彼はされる時がいつか来るのだろうと思うと、自慢げに「あいつをやっと叩き潰してやったぜ〜(笑)」と喜んで僕に話してくる彼を複雑な気持ちで見ることしか出来なかった。